情報通信システムの発展がますます進む今、IoTを利用した医療機器が実際の医療現場に浸透し始めています。そこで、医療におけるIoTを「IoMT」について紹介します。
目次
IoTとは何か
「IoT」とは、「Internet of Things」の略で、そのまま訳すと「モノのインターネット」。
つまり、モノに通信機能を搭載して、インターネットに接続・連携させることです。
最近では、これまでインターネットに接続されてきたパソコンやスマホ、プリンタなどのだけでなく、冷蔵庫やエアコンなどの家電、時計、自動車など身のまわりのあらゆるものがインターネットにつながるようになりました。
以前紹介した、ポケットにはいる超音波診断装置もIoTの活用事例です。
このIoTという技術により、遠隔からの操作や管理、情報収集、分析、人口知能への活用などが可能になります。
農業や工業、医療、交通、運輸などあらゆる分野での応用が期待されており、大きな可能性をもつ、今注目される技術です。
医療におけるIoT 「IoMT(Internet of Medical Things)」
医療が抱える課題
医療が抱える問題↓
少子高齢化
医療者の人手不足・負担
医師の高齢化・偏在化
IoT技術は、こういった医療の課題の解決をしてくれると期待されています。
新型コロナウイルス流行による医療の変化
オンライン診療が段階的な解禁:新型コロナウイルス感染症の流行拡大に対応する目的である。
新型コロナウイルスが流行中の現在、実際に患者の受診抑制が起きています。
その中で、「必ずしも医師が行わなくてよい医療」が明らかになるのではないでしょうか。
医療におけるIoT(IoMT)活用例
ウェアラブル機器による生体データ測定
ウェアラブル機器を用いて、体温・脈圧・血圧・排尿・睡眠などのバイタルサインを自動計測。
日常的にヘルスケアを行うことで、生活習慣病の予防や、疾患の早期発見・早期治療に役立つ。
また、バイタルデータをリアルタイムに送信し、スイッチのオン/オフなどの機器動作の制御を行うことげできる。
遠隔診療
患者の状態を、メガネのカメラから映像を送信し、遠隔地から専門医が診断できるようにする。
服薬指導
患者の定期的な服薬を確認し、飲んでいなければウェアラブル端末に通知するなど、薬の飲み忘れや過剰摂取、服薬エラーを防止する。
結核など、服薬の重要性の高い疾患でより効果的である。
スマートフォンカメラで、顔、薬、服薬の場面を投影し、データを送信するシステム。保険制度の制約が大きい米国で、DOTS(直接服薬確認療法)遵守の必要性から導入されている。
医療におけるIoT(IoMT)のメリット
地域連携
少子高齢化が進む現在、一人で暮らす高齢者も増えている。
ウェアラブル端末によって、自宅で療養している高齢者が転倒した場合や、発作がおきたり、急激に症状が悪化したりした場合にも、いち早く気づき、迅速に対応することができる。
医療サービスの向上
IoT機器によって、患者の症状や健康に関するデータを収集することでできること
- 患者一人一人にあった医療サービスを提供できる
- これらの情報をビッグデータ化することで、病気の早期発見や予防、医療の充実につながる
医療の効率化・コスト軽減
IoTの導入により、健康寿命が延びて慢性疾患が適切に管理されれば、重症化する患者が減り、医療コストが軽減される。
高血圧や糖尿病などの生活習慣病のケアをする場合、受診頻度が高く、これに比例して医療費が高くなっているからだ。
医療におけるIoT(IoMT)導入の課題
IoTの脆弱性にも留意しつつ、医療現場での活用を検討する必要がある。
医療機器の安全な導入・運用の実現
一般的にウイルスソフトなどで守られているパソコンと異なり、IoT機器には十分なセキュリティ対策が施されていないのが現状である。
IoT医療機器のサイバーセキュリティ対策は、患者の個人情報や医療データの流出防止や、止まることが許されない医療機器の運用を確保するためにも非常に重要だ。
今後、医療機器のIoT化の進展に伴って、サイバーセキュリティリスクは高まることが懸念されている。